狩猟を職業として生きていけるか?

狩猟、有害捕獲、補助金、行政、猟友会 気になったことを書いていきます

狩猟を職業にできるか?

狩猟を職業にできるか?

狩猟に関連する行政の仕事をやっています。狩猟も行い猟友会にも属しています。

狩猟に興味のある方や、それを仕事にしたい方に向け、狩猟を仕事にできないか考えてみます。

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自治体からの捕獲補助金で稼ぐ

考えられる一番の収入源は、やはり、国や県、市町村からの補助金です。

国の鳥獣被害対策関連事業の予算は平成30年度は105億円です。地方自治体負担額を含めるとこの数倍になります。

狩猟に対する自治体からの狩猟補助金

単価は低く1頭5千~1万円程度。補助制度のない自治体も多いです。200頭とっても100万円程度。これのみで職業にするのは難しいでしょう。

販路を確保できれば話は別ですが。

許可捕獲(有害鳥獣駆除)に対する自治体の捕獲補助金

利権が絡んでおり、想像以上に汚い世界です。

狩猟を始めたばかりの人間や、外部から来た人間が活動するのは難しく、猟友会に属し駆除班員に指定されないと捕獲許可さえもらえないことがほとんどです。

本当に人手が足りない地区では猟友会側から声がかけられるでしょうが、捕獲・駆除活動を始めるまでに、猟友会と良好な関係を築いたうえで数年以上の時間がかかると考えたほうが良いでしょう。行政が「狩猟者が少なくて困っています」のようなことを言っていても、猟友会の中の人間は困ってません。補助金の取り分が減ることを嫌がっているのです。駆除員になれるかなれないかは猟友会次第なのです。

ただ、地域によっては歓迎されることもあります。移住を考えるなら事前調査が重要です。補助金額は地区で違いますが1頭1万5千円程度です。年収百万円を超える人は珍しくなく、1千万円もらっている人もいるとの話も聞きます。 

認定鳥獣捕獲等事業者への指定管理鳥獣捕獲等事業交付金

実際に事業者が活動できているかは???です。

環境省_認定鳥獣捕獲等事業者制度に事業者一覧があるので気になったら問い合わせてみましょう。

 

自治体などの職員になる

市町村の有害鳥獣担当(臨時)職員、地域おこし協力隊

一番手堅い方法でしょうか。収入は低いですが面接さえ受かれば1年は収入を確保できます(月収10万~17万程度)。ただし、捕獲・駆除が主業務とは限らず、防護柵設置・点検や事務仕事ばかりということもあります。臨時職員募集はハローワークで検索できます。地域おこし協力隊はニッポン移住・交流ナビ JOIN - 田舎暮らしを応援します -から検索できます。 

獣害対策など研究テーマとする大学や、公的研究所

調査研究やアドバイザリーなどが主業務であり、捕獲・駆除を主業務とするわけでないです。このような職に就きたい場合、多くの関係者が、農作物野生鳥獣被害対策アドバイザー の一覧に名を連ねているので、どのような大学や研究所を目指せばよいかわかります。

獣害対策などを事業とする企業

自治体からの調査・研修の委託や、認定鳥獣捕獲等事業者(上記)としての活動などを業務とします。上記の研究所から派生したものもあり、定年退職した公務員や大学教授やが理事長をしていたりします。そのような企業は自治体とのパイプが強いので、自治体からの事業を継続的に受けています。 

 

獲物を販売する

税金以外の収入源を考えると、捕獲した獲物を食肉としての卸、販売することが考えられます。

獣を食肉加工施設に卸す

昔はキロ数百円で肉屋に売れたとの話もありましたが、今ではほぼ価格がつきません(もちろんコネがあれば話は違います)。自治体が開設している施設もありますが、そこでも受け入れ拒否されることもあります。食品衛生に対する要求が高まっており、生体のみ受け入れとか、止め差し後30分以内のみなど受け入れの条件は厳しいです。買い取ってもらえる施設の確保が重要です。

獣を直接、飲食店や旅館に卸す

食肉として流通させるには、食品衛生法が定める食肉処理業等の営業許可を受けた食肉加工場で処理しなければならなりません。しかし、実際は・・・。

よく言われる「信頼した猟師さんのみから直接仕入れています」というのは、食品衛生法的には怪しいかもしれません。また、卸先から信頼されるようになるのも簡単ではないので、販路の確保が重要です。

自分で食肉加工場を設立。処理、販売。

食品衛生責任者の資格が必要ですが、これは比較的簡単に取れます。あとは、予算と場所が確保できれば設立できそうです。

ただし、国のジビエ関連事業で数十億の税金が食肉処理施設などのジビエ関連につぎ込まれており、価格で勝負するのは難しいかもしれません。その補助金を受けるという手もありますが、自治体からの干渉も大きくなって、事業としては一長一短です。

また、販路を確保できるかが一番の問題です。 

自分で飲食店を経営し販売。

加工も販売も自分でしよう、というのも一つの解です。あとは、商売の資質次第ですね。

毛皮や革、角、牙の販売、加工販売

卸してもいいし、加工してもいいでしょう。 

 

食肉などの販売は、捕獲補助金と違い捕まえるだけで収入が確保されるわけではありません。一方、コネクションや商売の才覚があれば高額所得も可能です。

 

他でも稼げる

他にも思いついたものを書き並べます。

他にありましたら教えてください。

農家などむけの被害調査や捕獲

野菜はもらえると思うが、お金をもらえるようなれるかは営業次第。

また、取れなかった場合を考えると、いろいろ大変そう。

狩猟自体をアクティビティーとして扱う

体験ツアーや、狩猟初心者向け講習のインストラクター。

都心部のハンターを対象とした、巻き狩りなどのガイド。

狩猟道具の作成販売

狩猟をすることは必須ではありませんが、関連ということで

狩猟を題材とした著作などのコンテンツ作成

マンガとか、エッセイとか、マニュアルとか。文才などほかの能力が重要ですね。

猟友会の事務局、銃砲店、射撃場

猟友会事務局は狙えるかもしれません。収入は低いでしょうが。銃砲店、射撃場への参入は困難でしょう。

 

 

 

今現在、「猟師」として生計を立てている人がどのくらいいるのかを考えると、この職業の現状がわかると思います。今あるところに参入するか、新しい方向に向かうか。どこかに道はあります。